スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

小説に登場する“ビーチ・ボーイズ”⑯越谷オサム「いとみち」

いや~、この間、このブログで

“越谷オサム氏にはもう一冊くらいビーチ・ボーイズが登場する小説を書いていただいて、我が国におけるビーチ・ボーイズの人気と知名度を確実なものにしていただきたい”

というような勝手なお願いを書かせていただきましたが、私などに言われるまでもなくすでに書いていらっしゃったのですね(笑)失礼いたしました、越谷様!



いとみち。

なにか昔の純文学の小説のタイトルみたいですね。“糸道”とは三味線を日常的に弾くことによって削られてできる、左手人差し指の爪の小さな溝のことなんですって。その溝に糸(弦)を嵌めることによって安定した音階の移動ができるそうです。三味線って体得するには文字通り身を削るようなハードな鍛錬が必要なんですね。

もちろんタイトルには主人公「相馬いと」ちゃんの青春の道程という意味合いもあるのでしょう。可愛いけどちょっぴりヘタレな彼女の成長の軌跡を追っていくだけでも楽しい小説ですけど、今やクールな日本文化の象徴のメイド喫茶(アキバ文化)と伝統的な和楽器の三味線、身体を壊すまで働かされ捨てられる昨今の東京の労働環境と「テナント募集」の物件ばかりが目立つ津軽青森の地方都市&温かな家族的な職場、といったような組み合わせの対比が押し付けがましくなくサラりと描かれていて、いや~、なかなか深い小説ですよ!

ちょっと男目線で書かれ過ぎてるかな?と思う部分もありますが(笑)

ビーチ・ボーイズ・ファンとしてはたと膝を手で打ったのは、

昼夜の別なく続く風のうなり声。津軽の冬を思い起こせば、南カリフォルニアの風土をそのまま音にしたようなビーチ・ボーイズに傾倒するオーナーの心情は、いとにもありありと想像できた。

の一文。これはビーチ・ボーイズ・ファンの心境を捉えた文章ですよ。いつも暖かいところにいる人は南カリフォルニアへの憧れ感は少ないだろうと私も思います。生まれも育ちも岩手の大滝師匠がナイアガラ帝国を築き上げ、カナリア・アイランドに辿り付いたのもうなずきマーチなのです、と言ったら失礼かしら?

そして、リア充で人生満ち足りた人はビーチ・ボーイズなんて深く聴かないだろうとも思う。サーフィンができなかった人が作ったサーフィン・ソングを瑞々しく感じれるかどうか、“自分の部屋にいれば僕は怖くない”(In My Room)と、そこまで弱さを吐露するブライアン・ウィルソンという人の手の届かないものへの思い、を感じ取れるかどうかは、何かへの“憧れ感”を共有できるかどうかですから。
スポンサーサイト

Comment

非公開コメント

プロフィール

とらじろう(とらさん)

  • Author:とらじろう(とらさん)
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
カテゴリー
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク
ブログ内検索
RSSフィード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。