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ルイス・シャイナー 「グリンプス」

「小説に登場する“ビーチ・ボーイズ”」の第8回目はルイス・シャイナーの「グリンプス」(1993)です。



《ペット・サウンズ》は国内ではまだCDになっていない。翌日、ぼくはレコード屋へいき、日本からの輸入盤に二十ドルを払った。それを二回聴いたあと、LAのグレアムに電話した。

「《スマイル》をやるよ」 ぼくはいった。


『Pet Sounds』を世界で初めてCD化したのは我が国、日本なんですが(2800グリーン・ライン)、そういったオタク的な細かな事実を正確に取り入れて書かれているところが素晴らしい本です。

1994年度世界幻想文学大賞(長編賞)受賞作。ステレオ修理屋の主人公が自らの父親の死後、過去にタイム・トリップして幻のロック・アルバムを創り上げられる不思議な能力に目覚め、ブート業者と手を組んでドアーズ、ビーチ・ボーイズ、ジミ・ヘンドリックスの未発表音源を求める旅に出るという音楽系SF。

人間は誰でも多かれ少なかれ「あの時、ああしていればよかった」っていう後悔の念を抱えながら日々生きていて、さらにビーチ・ボーイズ・ファンなら誰でも「あの時(ビートルズの「Sgt.Pepper's」より先に)「スマイル」がちゃんとリリースされていればなぁ」と悔しい思いをしながら生きいるわけです。ドラえもんが本当にいたらやっぱり私はタイム・マシンを貸してもらって66年夏のブライアン・ウィルソンに会いに行きたいですね。そして彼を勇気付けたい(笑) …この「グリンプス」は実に綿密にロック・ミュージックの歴史的事実を調査・把握した上で、「あの時、こうなっていたらなぁ」というロック・ファンの願望を結実させた大作(日本版文庫本で550ページ以上あります。でも、そんな長く感じさせない小説です)です。ロック・ファンならオススメの一冊です。

ところでこの「グリンプス」が受賞した世界幻想文学大賞(World Fantasy Award)ですが、1992年度はロバート・マキャモンの「少年時代」(この作品にもビーチ・ボーイズが出てきます)が、2006年度は村上の「海辺のカフカ」が受賞作に名を連ねるというなかなか由緒ある(?)文学賞のようです。
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